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友禅染めの革のバックに魅了されて「自分屋」訪問。創業100年の老舗の試み

きっかけはジャンケン大会

東京に住んでる私ですが、先日大阪に行きました。遠出はあまりしない私にとって、大阪に行くってかなりことです。目的はこちらの訪問。

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こちら、竹口さん親子が営んでいます。株式会社タケグチ。お2人は友禅染めを革に施す、革友禅の職人さんです。

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左が息子の竹口振一郎(しんいちろう)さん、右が父の竹口昌昭(まさあき)さん。

 

こちらを知ったのはおもしろいご縁でして。色々なことが繋がったり、ちょっとしたラッキーだったり。そしてお店に興味を持って、思い切って大阪に行ってみようと思いました。

 

今回はじめましてでしたが、お2人とも気さくな方でとっても良くして下さいました。

 

「春だから」そんな理由で買った財布から

こちらのお店を知ることになったのは、京都在住の山本茜ちゃんの存在があったからこそ。茜ちゃんのおかげで、「自分屋」のバックが東京の私の元にやって来ることとなります。鞄の職人さんなどがタケグチの革友禅を使って作品を作っているのが自分屋となります。

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右が茜ちゃん。3年勤めた会社を最近辞めて、今は仕事はフリーでやっています。ジャケットの袖元や襟の柄は、タケグチの革友禅です。

 

茜ちゃん、とある日にお母さんと出かけていて、「新しい財布買ったら?」という話になります。

 

財布買い替えるつもりもなかったものの、春に財布を買うのは縁起がいいなんて言ってたなぁと思い、そのお店で売られていた商品の中で1番気に入った財布を買うことに。それがタケグチさんの革友禅で作った財布でした。

 

お財布に愛着が湧いてきて、使っているうちにほころびも出来てきたし修繕したいなと思ったのですが、そのときはホームページなどもない状態。電話番号だけは分かっていたので問い合わせて訪問することに。これまで素材を探究していらっしゃったデザイナーさんなどはいたものの、茜ちゃんみたいな感じでやってきた人はいなかったため、びっくりされたそうです。

 

それから竹口さん親子と茜ちゃんとの繋がりができたのですが、お店のあるところはシャッター街。もっと多くの人にタケグチの革友禅を知ってほしい、若い人にも使ってほしいと思っているということを知ります。

 

今は発信していく時代。そう思った茜ちゃん、自己発信で実績のある安藤美冬さんに相談します。美冬さんのことは、ノマドフリーランスに興味ある人であれば知ってる方も多いかと思います。茜ちゃんが学生の頃に参加した、国際交流の船の旅(内閣府青年国際交流事業)で、美冬さんと茜ちゃんは面識がありました。

 

そんなこんなで美冬さんが主催するコミュニティの懇親会で、今日はジャンケン大会があります、バックを1名にプレゼントしますっていうのがありまして。

 

私はそのコミュニティに参加しているのですが、幸運でありがたーーいことに、バックいただけたんです。素敵なバックで相当うれしかったですよ。

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そのときのバックとともに。Photo by takumi YANO.(矢野くんブログは こちら 。1年目で会社を辞め、現在写真家として活動中です

 

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安藤美冬さん(右)と。美冬さんの生き方に憧れてコミュニティ入りましたって人はたくさんいます。(コミュニティの情報は こちら 

 

その後、バックのお礼で茜ちゃんに連絡をとりました。そして茜ちゃんが東京に来ることがあり、実際に会って、バックが私の元にやってくるまでそんなエピソードがあったんですねということを知りまして。

 

いつか大阪行きたいなー、お店にも行ってみたいなーなんて言っていたのですが、いつか行く行く詐欺でずっと行かないのもなーと思い、思い切って行ってみたというわけです。

 

元々は失敗作と思ったもの

友禅染めとは染めの技法のことで、模様のことではない、とのこと。言われてみれば、色んな柄があります。

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革友禅はタケグチさん以外にもあるのですが、ここの特徴は、独特のでこぼこした手触りです。

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心が和んで、ずっと触れていたいような気分になります。触った瞬間に分かるというような感じでもないのですが、じわじわとくるんですよね。畳の部屋にいると落ち着くのと同じような心境でしょうか。

 

また、タケグチの革友禅の特徴として、水に強い、革なのに軽いといったことも挙げられます。10年前からこれはどこで作られたのだろうと探していました、やっとここに辿り着きましたという方もいたそうですよ。

 

タケグチの革友禅を始めたのは昌昭さんなのですが、始めは失敗したと思ったそうです。

 

創業100年のこちら、元々は財布などの小物をつくるところでした。あるとき、革友禅の工房のオーナーが引退するということで昌昭さんが引き継ぐことになるのですが、やり方を一から十まで教わったわけではありません。想定通りにならず、でこぼこしたものになってしまいました。ですが逆に「これがいい」と見出してくれた人がいたおかげで、今に至ります。

 

工程としては、染めのあとに、蒸して洗い上げ、乾燥させて、完成です。その過程で、元の大きさから縮みます。

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下の白地が元の大きさ。上のカラフルなものが出来上がったもの。かーなり縮むんですね!

 

どんなものになるかは、完成しないと分からないそうです。同じものは2度と作れないから、全て一点物です。

 

最後の乾燥の工程は自然乾燥。雨の日が続いたりすると大変だそうです。天候にも影響を受けながらも作っていらっしゃるんですね。

 

跡を継ぐことは考えていなかった

息子の振一郎さん、大学からは東京で過ごしていました。そろそろ親のこともあるしと思い大阪に戻ってくるのですが、まだその時点では跡を継ぐことは考えていなかったそうです。選択肢の1つかなというくらい。

 

ですがやってみたら、1人で作業してものを作るというのが性分に合っていたそうです。もちろん、会社で定期的にお給料を貰っていたときとは違う大変さもあります。天候の都合で乾燥が思うように進まなくても納期は待ってくれませんし。それでも、これからもずっと続けていきたいとおっしゃっていました。

 

私がジャンケン大会でいただいた緑のバックは、振一郎さんが染めたものです。昌昭さんと振一郎さん、親子なのでつい色々と言いやすいところもあるそうですが、振一郎さん作のこのバックを、昌昭さんが傑作だと褒めていたのが印象的でした。

 

これからのこと

シャッター街にあるこちらのお店。「こんなところでもうやめたら」という声も多いそうです。ですが、「ここはお客さんに商品を見てもらう展示の場という気持ちでやってはどうか」と提案してくれる人もいるそうです。また、茜ちゃんは大学で外国語を勉強していた人だし、海外の人にも知ってもらいたいと話していました。

 

振一郎さんは、もっと大きなことをやっていきたいと話していました。そして直接やりとりする方がやりやすいし、タケグチの革友禅に興味がある方がいれば大歓迎だそうです。

 

今ではとってもおしゃれなホームページもあります。ぜひぜひのぞいてみて下さい( こちら )。振一郎さんがびっくりするほど、昌昭さんは色々なツールの使い方を覚えるようになっていて、情報発信にも取り組んでいます。

 

バックをいただいてから半年経っていますが、使い続けていて、ものは本当にいいなと思っています。自分屋さんの革友禅がよりたくさんの人の手に触れてほしいですね。

 

★革友禅「自分屋」ホームページ

jibunya.jimdo.com