栄養士から管理栄養士へ、そしてフリーランスに
管理栄養士の岡ひかりさん。2017年5月末にそれまで働いていた保育園を辞めて、6月からフリーランスになりました。
優しくて穏やかな雰囲気の持ち主。一方、専門学校で栄養士の資格を取得したあと、国家試験を受験し合格することが条件となる管理栄養士の資格を働きながら勉強して取得した情熱のある子です。
子どもの頃にもっと家族でご飯を食べたかったという経験から、食に興味を持ち、仕事と家庭を両立しやすいフリーランスで働く事例が多い管理栄養士を目指すことになります。
管理栄養士さんのちょっとリアルなお話
はる:ひかりちゃんは始めは栄養士さんで、そこから勉強して管理栄養士になって、実感として良かったっていうことはある?
ひかり:自分っていうよりかは周りの見る目っていうか、変わりますね。管理栄養士さんなんだーって目が輝いてくれたり(笑)
はる:そうなんだ(笑)
ひかり:管理栄養士の資格取るんだったら大学卒業してすぐ受験できるところに行っちゃった方が楽ですね。高いんですけど。私はお金がなかったので。専門だと、大学などへ編入して2〜3年学校に行くか、もうプラス3年働いて試験を受けるかしないととれないんです。
はる:涙ぐましいねぇ。専門を出たあとだと実際の経験が必要ってこと?
ひかり:あ、そうです。実務経験が必要なので。
はる:もうねー、えらい!!でも栄養士さんや管理栄養士さんは資格が手堅いから、無難に働いてても食べるのには困らないんじゃないかなっていうイメージで。
ひかり:場所にもよりますけど、人員がいなくて大変なところもあるんです。それで鬱になるくらい疲れ果てて。栄養士さんや管理栄養士さん、真面目な方が多いんです。誰かのために何かしたいっていう気持ちもけっこうあって、フリーランスになりたいって方は多いです。
はる:確かに真面目な人は多そう。
ひかり:これも場所によるんですけど、管理栄養士って、栄養士さんよりプラス何万とか資格手当がつく会社もあるんです。それで私、管理栄養士になったときにどのくらい変わったのかなって思って見てみたら、500円でした。
はる:えー!!!
ひかり:けっこうがんばったのになぁ、とか思っちゃって。
はる:ちょっと、ねぇ。。保育園では献立を作る担当?
ひかり:献立つくって、その材料の発注もして、お昼と、おやつ作って。
はる:調理もするんだ。
ひかり:それができたのはメリットだったと思います。うちの園では、自分達で考えた献立を自分達で作って提供して、子ども達の感想聞いて、ダメなものは排除したりしていました。
はる:作ったものの感想が直接聞けるのはいいね。
ひかり:直に聞けるので、改善とかつなぎやすいですね。
一緒に仕事しませんかという依頼はけっこういただく
ひかりちゃんと私が出会ったのは、共通の知人が開催したお花見がきっかけ。そのときにひかりちゃんを起業に向けてサポートしていた宇部和真さん(惹句工房 代表)とも知り合ったのですが。
ひかりちゃん(左)と宇部さん(右)
はる:ひかりちゃんと宇部さんが知り合ったのってどういうところから?
ひかり:フリーランスの管理栄養士さんでちゃんと収入が成り立ってる子がいて、その子が投稿で宇部さんのこと書いてて。フリーランスになれたのは宇部さんのおかげで、けっこう管理栄養士さんが相談に来てるっていうのをたまたま見たんです。
はる:あ、元々そういう感じだったんだ。
ひかり:で、次の日にたまたま無料の勉強会みたいなのやってたんですよ。無料だったら行ってみようかなーって。すっごい軽い気持ちで行ったのが最初です。
はる:宇部さんにはどんなふうにお世話になってる感じ?
ひかり:宇部さんからは私が本当にやりたいことを引き出してもらいました。その上で、こんなことができる、あんなこともできるというアイディア出しから、それを収入として繋げるには?の道筋を立てて貰いました。今は宇部さんの元からは卒業したのですが、相談したら答えてくれる距離感で見守ってくれています。
はる:いい人間関係だねー!管理栄養士さんでフリーになるって言ったら、選択肢としてはどんな感じのことになるのかな?
ひかり:食事の改善のカウンセリング系だとか、商品開発に携わったり、あとはジムとかに非常勤で行ったりになると思うんですけど。私はアレルギーに関することをやっています。
はる:フリーになるって言ったら、人脈が大事なんだろうなーっていうか。
ひかり:自立しますみたいな話をしたら、一緒にやらないかって話はけっこういただいたりするんです。
はる:じゃあニーズはけっこうあるんだ。
ひかり:やっていく中で出会った人たちが食関係の方が多いので。例えば興味があってお話を聞かせてもらっていたお店の人が、イベントやりたいからそこでアレルギーの話をしてくれないかと勉強会の依頼をいただいたり。
はる:自分が興味ある場所に行ったり人と関わっていたりしてたのが、結局はいい方向に繋がってるのかな。
ひかり:あとはほんとSNSすごいなと思う…私のFacebook見て興味持ちました、こういう仕事やってるんで一緒にどうですか、とか。
はる:そこはもう、SNSは見せ方とか使い方もあるんだろうね。
上野公園でのビーガンのイベントにて。私(左)、ひかりちゃん(右)。オーガニック菜食料理「かえもん」さんのブースにて。かえもんさんは、ひかりちゃんが関わっているお店の1つです。ひかりちゃん開発の、みそパウンドケーキを売っていました。おいしかった!
根底にあるのはやっぱり「家族でご飯を食べる時間」
はる:結婚しても家族のために時間を作りたいからフリーランスになりたいって思ったって聞いたんだけど、それじゃ専業主婦になりたいっていうのはなかった?
ひかり:例えば家族での日曜日のお昼ご飯とか、そういうのが自分の中での温かい休日で、それが毎日のように続いたらいいな、と思うんで。ただ、家庭でご飯も作りつつも、社会にも関わっていきたいなって。
はる:ご両親とは最近ではどんなふうになってる?
ひかり:今でこそ、フリーランスになった時に1番支えてくれたのは両親かもしれません。やりたいならやってみろと背中を押してくれて、こまめに食べれてるのかと料理を持ってきてくれたり。フリーランスとして早く自立して、より両親に親孝行していきたいなという気持ちが強くなりました。
はる:なんて素敵なご両親と娘さんなんだ・・・!この先こんな仕事がしたいっていうのはある?
ひかり:みんなが一緒に食べられるような場所がつくれたらと考えています。アレルギーの方が食べられるような飲食店に行ったりしてブログで紹介することがあるんですけど。
はる:米粉のパン屋さんの記事とか見たよ。
ひかり:ビーガンやベジタリアンの方のレストランで出しているものが、アレルギーの方でもおいしく食べられるっていうのが最近分かってきたんです。アレルギーの人が食べられない食材、卵とか乳がほとんどなので。
はる:言われてみたらそうかも。
ひかり:海外のビーガンやベジタリアンの方が日本食を楽しみにして旅行に来たけど、食べられるのが少なくて残念に思って帰っていく人がけっこういるって聞いたんです。せっかく日本に来たのに。
はる:確かに。お寿司とかとんかつとかダメだしね。一時期ビーガンとかって日本でブームになってたから、そういうお店ってあるような気がしていたけど。意外とない?
ひかり:意外とないんです。アレルギーの人達も、食べられる場所が限られてるんですよ。
はる:そうなんだ。
ひかり:それで、たくさんの人が一緒においしくごはん食べれるような情報提供のサイトを作ってみようかなっていうのがあって。そこでレシピとか公開したり、おすすめの飲食店を紹介したり、みんなで食べに行くイベントをやろうかとも思ってます。
はる:家族でご飯を食べる時間が欲しいっていうので管理栄養士になって、そのさらにおっきいバージョンで、色んな人と食べれるようになれたらなっていう。
ひかり:あ、そんな感じです。将来、こうやって切るんだよーとか自分の子ども達に教えたりしながらご飯作って、家族みんなで夕食を食べたいって願いがあって。全然日によるんですけど。たまに息抜きで外食もそれもありで。
はる:そうだね。
ひかり:そういう環境がちょっとでも多くあればいいなっていう夢が。そしてアレルギーの方でも海外の人でも同じように食べられたら、そういうテーマで集まってくれた人たちみんなで食べて、わいわい、家族みたいになったらいいなーって思ってます。
はる:きっと今、そのための種を蒔いて育ててる段階なんだろうね。素晴らしい場ができますように。どうもありがとうございました!
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